iDeCo 節税

iDeCoで損しない賢い受け取り方法

2023年12月15日

「 iDeCoは節税になって、お得!」
という情報はたくさんあっても、 iDeCoを受け取る際に税金上の工夫が必要なことは、あまり知られていません。

入口は簡単で、出口は難しい。
それが iDeCoだと、私は思います。

この記事を読めば、 iDeCoの出口戦略について自分なりの方法を選ぶ際の決め手になるはずです。

iDeCoの給付条件

iDeCoの受け取り方法というと、60歳以上になってから(老齢給付金)というイメージが強いかと思います。
それ以外にも、以下の1と2の「万が一の時」にも受け取れます。

  1. 障害給付金
    病気やケガなどで、障がいを抱えてしまった時に引き出せるお金
    障害基礎年金(1〜2級)を受け取っている
    身体障害者手帳(1〜3級)の交付を受けた
    療育手帳(重度)の交付を受けた
    精神障害者保健福祉手帳(1〜2級)の交付を受けた
  2. 死亡一時金
    加入している本人が亡くなった時に、遺族が受け取れるお金
    配偶者や子ども、両親、孫、祖父母、兄弟姉妹が請求する必要あり
  3. 老齢給付金
    原則60〜75歳の自分の好きな時に、お金を受け取れるお金
    ※iDeCo加入期間が10年未満の場合、
     受け取れる年齢が後ろ倒しになる

iDeCoの受け取り方法3パターン

  1. 年金
    5〜20年の間で「均等額で取り崩し」「均等割合で取り崩し」などを選べる
    商品ラインナップによっては「終身年金」として受け取りも可能
  2. 一時金(一括でお金を引き出す)
  3. 併給(年金と一時金の組み合わせ)

障害給付金
1〜3のどのパターンで受け取っても「非課税」
受け取り方法によって、損をすることはありません

死亡一時金
受け取り方法は「一時金」のみ
判断を誤って損することはありません
ただし、iDeCo加入者が亡くなってから、3年以内に請求しないと、非課税枠が使えなくなるので、注意!

遺族にみなし相続財産として、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠
例)iDeCo残高1000万円、残された
  遺族が妻と子1人の場合
  500万円×2(法定相続人の数)
  =1000万円
  → 相続税はかかりません

老齢給付金
受け取り方法で大きく税額が変わり、判断を誤ると、100〜200万円レベルで損をすることも
(最適な受け取り方法は以下で解説)
年金として受け取れば「雑所得」、
一時金として受け取れば「退職所得」
併給の場合は、「雑所得」と「退職所得」の組み合わせとなります

税金最安で受け取る方法

以下の方法で、iDeCoの老齢給付金にかかる税金を最小化できます。

  • 退職所得控除の範囲内で、一時金として受け取る
  • さらに残額があれば、公的年金等控除の範囲内で小分けにして年金として受け取る

受け取りに関わる重要な計算方法

ここからは、数字ばかりが出てきて眠たくなりますが、頭の片隅にあると便利な知識です。

退職所得控除の計算方法
勤続年数20年以下の場合:勤続年数×40万円(80万円に満たない場合は、80万円)
勤続年数20年以上の場合:800万円+(勤続年数−20年×70万円)
※iDeCoの場合は加入年数

退職所得控除を2回使うのに必要な経過年数
退職金を先に受け取り、iDeCoを受け取る時
→ 20年
(例)55歳で勤務先から退職金、75歳でiDeCoを受け取る
iDeCoを先に受け取り、退職金を受け取る時
→ 5年
(例)60歳でiDeCoを受け取り、65歳で勤務先から退職金を受け取る

公的年金等控除額
 65歳未満は、年額60万円まで非課税
 65歳以上は、年額110万円まで非課税

フリーランスや自営業者、専業主婦
65歳から国民年金が満額で年約80万円
→ iDeCoの年金を30万円未満で受け取れば、
 非課税で年金を受け取れる

厚生年金に加入している会社員や公務員
国民年金+厚生年金の平均受給額は年170万円
→ iDeCoを年金で受け取ると、110万円を超え、
 課税される
 一時金として全て受け取り、退職所得控除で
 1/2を乗じた金額に課税された方がお得

以上を踏まえ、会社員である私は、60歳でiDeCoを「一時金」として受け取る予定です。
そして、勤務延長した上で、65歳で勤務先から退職金を受け取れば、税金上は最もお得と考えています。(60歳時点で、大暴落が来ませんように…?)

受け取り方法を決める3つの要素

  1. 受け取り方による「税金」
  2. 受け取り方による「手数料」
    口座管理料(iDeCo口座にお金があるうちはかかる)では、早く受け取った方がお得!
    60歳引き出しと75歳引き出しで、15年分の差
    → 金融機関により1万円〜9万円の差
    給付事務手数料(引き出しにかかる)は1回440円のため、一時金がお得!
    → 一時金なら440円、「年6回×20年」の年金で受け取るなら440円×120回=52,800円
  3. 受け取るまでの間に稼げる「資産運用益にかかる税金」
    運用益非課税のため、75歳まで運用する人も
  4. ライフスタイル
    ここでお金を使う!という人生設計
    投資で最大のリターンを出すこと=幸せとは限らない

税制は時代とともに変化する

今回の新NISAの改正のように、税制は頻繁に変化します。
iDeCoの制度が、この先数十年間、今のままだとは考えにくいです。

投資を促す政府が、iDeCoでも良い改正をしてくれることを願いつつ、常に監視は必要です。
iDeCoを活用している方は、改正に備えましょう!

まとめ

この記事では、 iDeCoの出口戦略について、解説しました。

掛け金全額を所得控除を活用して節税しつつ、受け取り時にも最小の税金で済ませ、 iDeCoという制度をフル活用しましょう!

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あさり

AGA専門クリニックに14年勤務する会社員。 2017年から楽天経済圏を活用し、39万円分の楽天ポイントを獲得。2018年からiDeCo、2020年からつみたてNISAを開始。 子どもの長期入院の経験から「お金の不安から大切な時間を守る」をテーマにブログ執筆、金融Webライター(FP2級)として活動中。X(旧Twitter)でも情報発信中。 得意ジャンル「投資(iDeCo、NISA)」「節税」「楽天経済圏」

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